■これまでの護身術では現代の暴力対策には不十分ではないか~武道を学ぶ多くの方へ
これまでも暴力対策としてたくさんの護身術が登場しましたが、多くの護身術は習得に長い時間を要し、それは多くの場合「あらゆる状況に対応する」という美名のもと具体的な状況設定を怠ったため、広範すぎる技法が現実の業務からかけ離れ対策教育には不向きなものではなかったでしょうか。また明確なゴール(落とし所)が考慮されていないことも問題であったように思われます。
業務において実際に起こりうる状況を可能な限り絞り、明確な理念と解決法を目指せば、技法はもっと簡略に絞れるはずです。
護身術で当たり前のように行われてきた「相手に対する反撃(殴り返す等)」は、業務上決して許容される行為ではありません。安易に痛覚によって抑え付けることもまた許されません。暴力に至る以前に拘束することも人権侵害となる場合があり、また腕を掴んだだけでも暴力行為とみなされる場合もあるのです。このようにこれまでの護身術は現代の複雑な社会に十分な対応ができているとは言えないと私は考えます。
現在不足している点は、身体介入前後におけるリスクマネジメントです。身体介入ばかりが注目されがちですが、あくまで身体介入は最終的な対策であり、緊急避難としてのみ行われるべきです。
CMVの身体介入は個人技ではなくチームワークを基本とし複数(職員)で個人(利用者)に対応します。このようにすることで利用者の安全確保にもつながるのです。個人技については離脱や他の職員が駆けつけるまでの時間稼ぎが主な目的です。暴力行為に対しては、組織的かつ社会倫理を含めた包括的な介入が必要なのです。
以上からこれまでの護身術の問題点は次のような点が挙げられます。
- 技術面ばかりが注目され、身体介入を避けるプログラム・治める総合的なリスク・マネジメントについては積極的な研究が行われていないこと。(兵法・戦略感の欠如)
- 様々な場面に対応出来るという曖昧な理念の元、技術が広範に及び、習得に長い時間を要すること。
- 現代の武道の多くは個人技であること。
- 反撃を容認していること。
長く武道を修練された方は、高い技術を習得しているにもかかわらず、その高い技術は社会的な意義が薄く、また一歩道場を出れば評価もされません。しかしCMVの考えを学べば現代社会にその技術を活かすことができます。
長い伝統を持つその優れた技術を、現代で正しく活用してみたいとは思いませんか。 |